フォルティッシッシモ

定着した言葉

この回では、かつて若者言葉と言われていたものが、現在は定着して幅広い世代に通じる様になった言葉について、 考えていきます。

@微妙
(例)この本、微妙だよね
意味の間違った使われ方の代名詞として、微妙という言葉が引き出されます。「微妙」は、 本来ほめ言葉として使われていたうえ、形容動詞として「わずかな・複雑な」を誇張表現した意味合いがありました。 ですが、現在のスタンダードは否定的な感想を和らげるという用途ではないでしょうか。
A〜的
(例)オレ的には、ありだけど
自分や相手に、〜的という言葉を足して「いち個人の意見」を強調する使い方です。 またその他名詞にも付け、ジャンルを括る時にも使用されます。
kase的には、最早日本語の1つと数えて良いのでは、と思うほど良く使われています。 しかし気になるのは意見を述べる時。「私的には、これで行こうと思っています」という使い方をされると、 決定なのか、指示が欲しいのかイマイチ良くわかりません。やはりこの言葉も否定文を和らげる 使い方が、相手に不快感を与えないでしょう
B感じ
(例)雑って感じもする
通常使うのであれば「感じ」という言葉も問題無いのかも知れませんが、 最近では何にでも付け足して使われている感じがします。
上記の文であれば、「気がします」という文章に直した方がしっくり来るでしょう。って感じ という使い方だと、タメ口と取られてしまうかもしれないので、こちらも使い方には注意が必要。

以上、もはや30代の方でさえ、日常的に使っている日本語をあげてみました。普段怖い上司が、 更に上の人に対して「僕的には」という話し方をしていると、新人時代(若い時代)の名残なのかな、 と微笑ましくなります。

濁しすぎた現代語

色々な解説を読んでいると、若者言葉について「濁し言葉」「ぼかし言葉」という名称が付けられています。 確かに上記の3つの言葉も、なんだか主張をあやふやにするための表現ですよね。

日本人の謙虚さが故?
@はまさにそうです。ほとんど成果に期待できない時・予想と反して悪かった時は、 ついつい「微妙」という、貶してないけれど褒めてもいない表現を使って逃げてしまいます。
Aに関しても、本来ならば「個人的には〜です」という使い方をしていれば、問題無い日本語ですが、 そこをあえて一人称・二人称などに付け足すことによって、更に狭まった表現にしています。
Bは尚、ひどい。これはこうです! という感想を言いたいのに、あえて「って感じです」 という言葉を足して、感想を述べていると言うより最早「印象」を述べるために使っています。
それでも使用しない方が無難
偉そうなコトを抜かしたkaseも、日常的に「オレ的には微妙って感じかなー」と言っているので、 年上の方々に見られると「乱れた日本語を使う奴」と思われるでしょう。流石に、 上司や発注先に使用する事はありませんが、日頃から「これは若者言葉」と認識しておくのが、 正しい日本語を使う第一歩かもしれません。