フォルティッシッシモ

花塵 - 連城三紀彦

 
概要
酒田への道中、"私"はNから「ある女性」について書いてみないか、と切り出される。その女性の名は三雲笙子、 画家である秋原柊平の母親だった。
世間からは「魔性」と呼ばれる生命の破壊力で男たち全てに破滅を与え、 その破壊こそが愛の証と考え、激しく生きた女の生涯をめぐる長編恋愛小説。
感想
ノンフィクション風に書かれた小説です。長編恋愛小説とありますが、 どちらかと言えば三雲笙子という架空の人物の生涯を書いた、という印象です。
生涯を描く内容でありがちなのが、いわゆる転落劇。特に女性の転落劇を書いた作品は多く、 なんだか男尊女卑の世界を映した様で、kaseはあまり好きになれません。
しかし、この三雲笙子という人物は、人生においては転落していようと、女性としてはむしろ燃え上がり、 最後までその火が絶えません。ありがちな転落劇では無かったのです。
  
その一生に、登場人物のみならず読者でさえ翻弄される、そんな作品です。